東方Mー1はなぜ苦しくなったのか


http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%9D%B1%E6%96%B9m-1%E3%81%90%E3%82%89%E3%82%93%E3%81%B7%E3%82%8A


第8回東方M-1のDVDが過去最低の販売状況らしく、
次回の制作が危ぶまれているらしい。


当方は第1回から全部買っているし、内容も好きなので、続けてほしいが、
だんだん苦しくなっている状況も推察できなくもない。


まずありがちな指摘として、
ニコ動で(無許可で)アップロードされるからタダで見れる、というのがあるが、
単にタダというだけではなく、
基本的にニコ動のほうが、コンテンツパッケージとしての価値が高いという問題がある。
理由は以下になる。


・コメント見ながらのほうが面白い
当たり前だが、DVDにはコメントが流れないので、
DVDを持っていたとしてもニコ動で見たくなる。


・マルチデバイス対応している
PC、iPhoneAndroid、PS Vita、PS3WiiU3DSの全てで、
コンバートなど一切不要で見れる。多分PS4も見れるようになるよね...
ついでに言うと、うちのテレビもニコ動対応だ。


せめてニコ動には、市販のパッケージメディアにコメントをつける機能を
最低でも実装してほしいな、と思う。
それがニワンゴにどう利益をもたらすのかは不明だが。


ここまでは多分想定範囲なのだが、
おそらくもっと本質的な問題があると思う。



MMDが普及した
DVD化した第3回当時と現在の違いはここにあると思う。

そもそも映像化の契機そのものが、
第2回の音声にニコ動で動画をつけた絵師が出現したことに端を発する。
当時は、絵のクオリティが高く、ネタをちゃんと理解して見せられる動画を
作れる人材が稀有のため、筆頭であった沌x氏を巻き込んで映像作品を作り始めた。


ところが現在は、
MMDと対応各種モデル、サポートツールによって、
少なくともアニメーションの制作に対するハードルは相当下がった。
だれでも容易にアニメーションできるし、アテレコもボカロとかゆっくりとかあるし。


MMDは、モデル、映像作品、音楽など、ユーザー間のコンテンツパーツの
貸し借り(?)によって、相互作用による進化を果たしたのに対し、
自前で完成形としてリリースされる東方M-1は、せいぜいコメントをつけるくらいしか
周囲がコンテンツに絡む要素がなくなってしまった。
そこは、送り手と受け手が分離された世界であり、
CGM的な活力を外部から供給できない構造となっている。


こうなると、ポイントは、
当時映像化のためにベストといえる選択であった、
沌x氏の加入が、逆に足かせになっているということになる。


対策:
a)沌x氏のキャラ、背景をすべてMMD化(つまりは3D化)し、作業を効率化する。
 モデル化するまでの手間はかかるが、一旦モデル化した後は、
 コンテンツの制作効率が飛躍的に上がることが予想される。


 この方法にはさらに分岐があり、


a-1)データ公開はしない
a-2)データをオープンにする


 という選択肢がある。


データをオープンにしないのなら、3D化ツールは別にMMDである必要はなく、
プロ作品らしく、市販のツールを用いてもいい。


データをオープンにする、ということの狙いは、
3次作品の制作を促す、というところにある。
当然、オリジネイターとして、3次作品より面白い作品を、
先出しで作らねばならないわけだ。プレッシャーは大きい。


しかし、東方M-1の、コンテンツとしての最大の特徴は、
ネタと構成そのものにあると思うので、
むしろこの点こそが、制作側の強みを活かせる点かもしれない。


b)映像作品としてのリリースをやめ、音声作品に戻る


つまりは沌x氏の解雇となる。非常に取りにくい選択肢だろう。
ただし、完成品としての提供から、素材に戻ることで、
保証はできないが、誰かがまたMMDで映像化してくれるんじゃね?


しかし、その素材が有料にて販売、というのはどうなのか。


ここが同人業界やマッシュアップにおける一番の悩みどころである。


これが米国なら、ゴール(=製品の販売)を設定して開発参加者を募り、
その後クラウドファンディングで資金を集めて、開発をスタートする、という
流れになるだろう。
そこには、開発参加者への報酬なども取り決めた上での動きがあるだろう。


でも、MMD杯については、
参加者は報酬を直接受け取ることはない。


強いて言えば、ここで実力を示し、知名度を上げることで、
「商業の仕事をゲットできる可能性が広がる」といえるだろう。


そういう意味では、
東方M-1の動画も、MMD杯で募集とかすればいいのではないか、と思いつく。


外部がどうこういう話ではないし、
沌x氏の絵柄や動画、背景に仕込まれたネタは好きなのだが、
マーケティング的視点というのは、収益面からみて
「おまえのやりかたはよくない」という話にどうしてもなるので、
批判的な内容になってしまうのはご容赦いただけると幸いです。


ただ、「買ってくれないから次が作れません」と、カネの話をするのなら、
視聴者を一様にワルモノ扱いにする前に、
もうすこし掘り下げて考えてもいいのではないかなとは思います。


それともアレですかね。
パトロン探そうってハラですかね。



という文章をいちど書いた後で読みなおして、
そもそも第9回の制作費用をクラウドファンディングで集めればいいのでは?
と思った。


ストレッチゴールで、だんだん声優陣が豪華になるとか。
(声優が変わることには微妙な問題もあると思うけど。
てゆーか声優陣も歌い手も安易に変えてほしくないか。)


あ、ストレッチゴールを1つクリアするごとに、
ボーナストラックで漫才ネタが1つづつ増えていくとか。


もしクラウドファンディングで資金集めるなら、
わたしは投資します。