Paranoia!!!!とKIRISAME MAGIC


http://www.nicovideo.jp/watch/sm24245546
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24402344


ニコ動東方界隈ではご存知ではあるだろうが、
DiGiTAL WiNGの「Paranoia!!!!」のPVがMMDで作られて、それがかなり良い出来で、定番になる勢い。


さっそく、DiGiTAL WiNG自身も含め、後続が来ているが、
Paranoia程には評価が良くないように見える。


Paranoiaが、評価が高かった理由をきちんと捉えておくべきだろう。


まず、この曲、正直言って、単体で聞くにはイマイチだ。
決して悪くはないのだが、曲調に変化が乏しく、また、間延び感があって、間が持たない。
リズムも普通の4つ打ちで、Aメロとサビの間のパターンも、単調で味わいが浅い。


実質、Aメロとサビと間奏の構成。
Bメロがないということは、ドラマティックさよりもスピード感が優先される構成だが、
それにしては曲が軽い。
で、間奏の入る比率が高いため、乗り切れない感じ。
なんか「カワイイだけのアイドル」みたいな。


それが、この動画がはまった瞬間に、化けた。
間の持たない感じが、かえって映像に注目させる要因となり、
(つまり音楽が映像を邪魔しない)
「映像のための曲」として、非常に良い演出となっているのだ。


曲の単調な部分が、ダンスのパターンとなっていて、
さらにコール・アンド・レスポンスを誘う仕掛けになっている。
もう、このダンスのために作られた曲としか思えない。


PVが出る前から曲を知っていた自分も、この動画を見て驚いた。
野暮な少女が化粧と服装で見違えたような、そんな印象を受けた。
曲だけだと間延びした印象があったのが、映像と曲の注目のメリハリが生まれ、
時間を忘れさせるPVとなっていた。


このPVにおいては、完全に、「映像が主で、曲が従」といえる。
良き主を得て輝きを得る、とはこのことを言う。


で、
その後、同じ制作陣(花たん、FN2、Sumijun、ぐやもこたん)にて、2曲のPVが公開されたが、
残念ながら、Paranoiaほどではない。


なぜか?
・曲の完成度がParanoiaより高いこと
・「曲を主、PVを従」として制作にかかっていること
・結果、映像が浅い(=ビジュアルにネタがない)


行動としては、間違っていないんだろう。
慎重な分析をするよりも、今はスピード重視、流れに乗るべきだ。
曲にPVをつけて動画サイトで注目されるというのはある種定式。
ここは矢継ぎ早で繰り出すべきだ。
MMDを使わない、というのも上記のためには取るべき選択だったのだろう。


でもそれってB2Cでやっても響かないだろうなぁ。
そこに面白み(ドラマ)がないから。


ドワンゴ川上会長は、コンテンツを「わかりそうで、わからないもの」だという。
急ぐあまり、わかったもので構成して作ったものは、人を惹かないってことかもしれない。


ただ、DiGiTAL WiNGは、このままでは終わらせないだろう。
絶対に超えてくる。彼らはそういう集団だ。


てゆーか
KIRISAME MAGICみたいにちょっとハズし気味の曲じゃなく、
まずは普通にGOD WINGのPVをこの手法で作ったらいいんじゃないだろうか。