3キャリアはiPhoneへの注力をむしろ強化するんじゃないかなぁ


http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20150514_701902.html


>さらに同社はSIMロック解除制度の改訂がiPhoneの売れ行きにマイナスの影響があると指摘。他キャリアへのMNP転出リスクが高いため、キャリア各社がiPhoneに偏った販売施策を改める可能性があるとしている。


うーん、逆なんじゃないかと思うんだが。
チキンレース的な意味で。


キャリアはAppleに対して交渉で不利な立場にあると思われる。
販売ノルマを達成できなければ端末の優先供給が受けられなくなるだろう。
よって、販売台数を確保するために、熾烈な値引き競争を行い続けるだろう。


で、競争に負けてiPhone供給の後手に回った場合、
Android販売においては、MVNO陣営の攻勢に脅かされることになる。


よって、3キャリアがAndroidへの注力に転じることは、かなりリスクが高い。


つまり、au、SBにとっては、
MVNOの市場に飲まれないために、iPhone販売で脱落するわけにはいかないのだ。


ただし、docomoだけは事情が若干異なる。
MVNOが勢力を増した場合、docomoは経営が安定することになる。
よって、docomoは、どう転んでも損をしない構図となっている。


3キャリアの中で、最も好調に見えるauだが、
現状の構図に対して一番つぶしが効かないのもauだ。


SBはAppleとのパイプという点で未だ孫氏の影響が強く、
Apple Watchを、発売日から取り扱えた世界唯一のキャリア)
また、日本市場がダメでも米国市場もあるし(まだ軌道に乗っているとはいえないものの)、
SBグループとしては、キャリア事業以外にも多くの事業がある。


よって、好調auも、まったく気が休まらない市場環境であると言えるだろう。


じゃあ当のAppleが恐れていることはなにか?
1)中国の景気減速
2)米国の景気減速
くらいじゃないかな。



docomoMVNO施策とは、端的に言えば、
「B2C営業の外部化による収益の安定と販管費の抑制による利益率の向上」だ。
docomoは、MVNO業者に、回線をまとめ売りすることで収益を安定させる。
売上は減少するが、それ以上に営業経費をカットすることが出来、
利益率を向上させることが出来るのが狙いだろう。
(多分リストラはしないので、営業現場を後述のeコマース関連に配置転換するか、分社化するだろう)


労働集約的なB2C販売は、MVNO業者が肩代わりしてくれる。
で、MVNO業者間で激しい価格競争が発生し、利益をすり減らしていく。
でも、docomoに入る回線使用料は常に安定している、という構図だ。


さらに、docomoが次の収益の柱にしたい、eコマース分野は、
既にキャリアアカウントとの分離が相当進んでおり、
eコマースだけでのブランディングも着実に行われている。
(いわゆる「d-なんとか」)
このあたりはしたたかとしか言い様がない。
auが、ウォレット後の展開があまりないのとは対照的だ。


こういう状況から、
docomoiPhone販売合戦から脱落しても、
MVNO元売りとして経営するとともに、eコマースで売上を上げていく、という構図に
移行していくだけだと思われるのだ。


(もちろん、eコマースへの参入は非常にハードルが高いのだが、
それをやりきろうとする覚悟が、docomoの動きからは感じられる。)




と、文章を書いた翌日、
auトップはもうわかっていた。


http://japanese.engadget.com/2015/05/14/au-wallet-market/#continued