大阪グランフロント

人混みがなくなってから行こうと思っていたんだけど、
事情により、GW中に行くことに。


すでに開業直前に、外周をぐるりと回ったのだが、
第一印象は、「東京の再開発みたいだ」。
それは、あまりよくない意味で。
外には曲がりくねった道やら流れる水やら石のオブジェやらがあったりするのだが、
そういう構造は、街として余計に歩く距離を増やしているわけで。
そもそも行くのがめんどくさい。


ここに、何を買いに行くのかさっぱりわからないんだ。


まだ、ノース、サウスそれぞれのゲートタワーのほうが、わからなくはない。
それは、「東急ハンズのある建物」という意味で。


そういう意味で、
一番存在価値を理解できるのは、「メーカーのショウルーム」。
メーカーとしては、商品が売れるのであれば、どこで買ってもらってもいいので、
商売っ気を出さずに、商品の案内に専念出来る。
さて、実際そんな風になっているのか。


...


というわけで、行ってみた。


一言でいえば、


「あんしん、あんぜん」を極限まで追求することで
「典型的な消費者」の「手の届くあこがれ」を提供する街


でしょうかね。


・徹底して反社会性を「消去」した街


ファッション:
アメリカンカジュアル、オーガニック、ナチュラル。
いわゆる「アメカジ」よりは範囲の広いカジュアルだと思ってください。
ディーンエイジャー向けのスパイスは抜き、社会的に問題のないカジュアル感。
女性向けは森ガール、オリーブの路線だと思えば。綿、麻、アースカラー、クレヨン。


雑貨:
オーガニック、ナチュラルの路線には北欧雑貨系も含む。
まあファッションと同じ路線ですね。
男性向け雑貨はほとんどありません。
南館地下1階にテッキー向けっぽい店があったけど、ギークな時計が20万円以上とか意味不明。
ここだけニューヨーク?


ヴィレッジヴァンガードがない、という点が、この街の象徴だと思います。
飼いならされた反抗心でさえ、この街には不安要素だということでしょう。
(ちなみに再開発地域の中では、阪急3番街にあります。)


屋外庭園:
8〜9Fには屋外遊歩道が整備され、「夜景の見える公園」となっている。
意外なことに柵が低めで、安全面でやや不安があるが、景観を優先したか。


街としての合理性、整合性はあります。
きっちりとビジネスモデルやマーケティングで組み上げられています。


ここに来るのは、カップルやファミリー。
こういったグループがグループの価値を求めた場合、
共通する価値観は必然的に普遍性の高いものになります。
愛とか自然とか健康とかそういうの。
そこに「よき時代のアメリカ」のイメージはオーバーラップします。
(ただしファッションのみ。モータリゼーションなどの要素はさりげなく排除されます)


そういった普遍的な価値観に、グループ内で肯定しあうことで、
グループに安心感を生み出す。
そういう演出の街です。


ここに、とがったものが並んでいたとすると、
グループ内に対立が生まれたりよそよそしさが出たりします。
そういうものは排除します。


これが、「あんしん、あんぜん」です。



逆に、ここに向かないひとは、
趣味や趣向を前面に出した個人やグループ。
彼らの求める趣味のものは、まずここには見つかりません。

これはアニメなどのオタク趣味だけでなく、
モード系やグランジなどのアンダーグラウンド感のあるストリートなど
好き嫌いの出やすい要素はここにはない、ということです。



・店に価値を教えてもらう街


もう1つ、
この街は、店に価値を教えてもらう街です。
自分でものの価値を判断できる人はこの場所にはおそらく用がありません。
それはグループ内の価値観の齟齬を生みます。


そうではなく、店舗から提示された価値に対して、
お互いに同意することで「あんしん」を得る。


もちろん色など多少の好みの差はありますが、価値観の軸が同じなので、
それは「想定範囲内」なのです。



では、どういう状況がマズいのか。
それは、価値観の軸がまったくことなるものの出現です。
理解できないものには、一般の人々は、「怖れ」を感じます。
しかし、グループでまとまっている際にその状況が出た場合、
露骨にグループ内の人々に「恐れ」を見せることもはばかられます。
見ているものが「理解できない」ことは、
グループ内のほかのヒトにも共通かどうかがわからないからです。



これは、怖い。
見ているものが理解できないことよりも、
グループにおいて自分と他のメンバーとで同じ価値判断ができるかどうかが
わからないことが怖い。



こういう状況を発生させないように、
慎重に街は設計されているように見受けられます。



「まあ、これかわいいわね」「そうだね」
「これあなたに似合うんじゃない?」「そうかなぁ」「絶対似合うよ、ちょっとあわせてみようよ」
「これは天然素材だけで作られておりまして、添加物は含まれていないんですよ」「へぇ〜、良さそうだね」



こういうやり取りが見えるようです。


・北館

なお、北館のナレッジキャピタルは、まだ未完成な印象を受けました。

日本初上陸(横浜と同時だそうですが)のZARAはそんな大げさに騒ぐほどでも、という印象。

App BankとソフトバンクiPhoneケースいっぱいの状況は、iPhoneユーザーにはうれしいかも。


あと、MUJIがけっこう大きな店舗を出しているので、MUJIの商品を探すのにはオススメ。
ただ、MUJILucuaにも店舗出してるんだけどどうするの?



・ないもの



ヴィレッジヴァンガード
ユニクロ
ABCマート
ゲーセン
家電量販店
フードコート
ゲーム機を扱う店



ヴィレヴァンがないのは、品揃えがコンセプトに合わないからでしょうね。
ユニクロがないのは、たまたまなのか、ファストファッションのイメージが強すぎるからなのか。
(でもGAPはあるんですよね。北館だけど)
家電は、どうしてもというならMUJIに若干はあります。
当然ですがスマホは北館に3キャリアそろい踏みなので問題ございません。
食事は、どこでも高いですが、唯一、サブウェイがファストフードで入っています。これも北館ですが。
値段も普通の店舗と変わらないようでした。
(とりあえずひつまぶしの店をチェックしましたが名古屋で食うより7〜800円高いです)


まあ家電とか安い飯とかは、グランフロントの周囲にもなんなりとあるので
そんな気にしなくてもいいでしょう。



・北館の存在価値:普遍性のための生贄


ちょっとまともに論じられるほど文章がまとまってないので。
「新しいことも模索してますよ」的な言い訳用?
みたいな?