日本と世界とゲーム機とゲームとスマホと

うわ2ヶ月以上放置か。


ともかく、
今年はComputexとE3が同時期に重なっており、
その筋の方はとても困ったりするでしょうね。


で、
E3でのハードメーカー3社は、今年はセンセーショナルなことは、なし。


まあ、
図式としては、現状うまくいっているMicrosoft
問題を抱えている任天堂ソニー、という感じ。


それはハードの性能とかそういうのではなくて、
1つは結果、1つは戦略。


各社の戦略を見る前に、
結果を見ておいたほうがいい。


いつものデータサイト、vgchartz.com
ここで、ハードの台数を見る。
Wiiは、世界で見て、ざっくりXbox360の1.5倍売れている。
PS3も、360にほぼ並んでいる状況。
圧勝とはいえないが、勝者はWii。そう見える。


次に、yearylのglobalで、ゲームソフトのランキングを見る。
驚け。
1位と2位は、Call of Duty。1位が360版で、2位がPS3版。
驚くべきはその販売本数で、それぞれ1,200万本と1,000万本。
2つで2千万本を軽く超える本数が売れている、お化けソフトだ。


訂正しよう。
これくらいはお化けでもなんでもない。
世界では、売れるソフトはもっと売れるのだ。
Wii Sportsを見ればわかる。
発売時からの総売上本数が、7,800万本。
これ、本数じゃなくて、金額じゃねぇの?とか思う。
しかし、この集計の、日本だけのデータを見ると、
特に間違っていない。普段目にするデータと合致する。


さらにこのゲームソフトチャート、上からずっと眺めていって欲しい。
なんと、30位以内に、任天堂以外の日本のゲームメーカが
1社も入っていないのだ。
一番上ので、36位の「マリオ&ソニック」のオリンピックタイトル。Wii向け。


さらに、
30位以内に入っている、任天堂ハードのゲームは、
すべて任天堂製だ。


ちなみに他メーカーは、1、2位からそうであるように、
当然のようにサードパーティが主力だ。
面白いのは、MSは上位にも自社タイトルがあるのに、
SCEIには30位以内には、それがないのだ。
(すぐ下の31位に、LittelBig Planet2があるが)


さてざっくりまとめると、
・ハードは任天堂が一番売れている
・でも、任天堂ハードは任天堂ゲームを遊ぶためのものだ
・売れるゲームはどちらかというと360やPS3向け(とくに360)に出ている
・世界のゲームの販売本数は日本の数字とは文字通りケタが違う。
・日本のゲームソフトメーカの存在感はない



少なくとも、
ハードメーカは任天堂戦略を考える必要があるが、
ゲームソフトメーカは、任天堂ハードを考えるメリットは、ないように見える。
これは短期の現象ではなくて、歴史だから。
任天堂ハードではサードパーティが売れにくい、というのは
以前から日本でも言われていたことであるが、世界だとより露骨だ。
任天堂のゲームをするための機械が、任天堂のハードなのだ。


一見、任天堂自身には、悩むところはないように思える。
ある種、360やPS3のユーザーは、違うマーケットだ、という考え方も出来るからだ。
任天堂のハードは任天堂のゲームを遊ぶためにある、と考えるならば、
つまり任天堂ゲームのファンが、任天堂ハードを購入するのだ、ともいえる。


しかし、そこには任天堂が掲げた戦略とのズレがある。
任天堂Wii3DSなどで、非ゲーマーを取り込むという戦略を打ち出した。
これはハード販売増加という点では一定の成果を上げている。
しかし、任天堂のゲーム機は、おそらく購入されてもすぐ飽きて使われなくなることを
なんとなくみんな感じている。
任天堂自身が、考えて考えて工夫して工夫したハードやソフトが、
結局なんか使われていない。


間違ってしまうとマズイのだが、
任天堂の戦略「が」間違っている、というより
任天堂の戦略「に」ズレがある、ということ。
ズレはどことどこの間に、ということだが、これは任天堂とエンドユーザ、と
任天堂とマーケット、の間、といえるかな。


任天堂は、高度化するハードウェアによるソフトメーカの「開発疲れ」を配慮し
ヒトとカネ(の物量)での開発ではなく、ゲームを作るものとしてのあるべき姿、
イデアと工夫での開発を促進しようとした。
それにより、サードパーティを参入しやすくしようとした。


しかし、結局、Wiiのリモコンを効果的に活用してヒットした
サードパーティ製ソフトは出てこなかった。


おそらく、その理由は、
創意と工夫にあふれた人たちが、スマホのアプリの市場に
流れてしまったからだ。


問題はより深刻である。
革新的なユーザーインターフェイスが広まらない、ということは
任天堂はマーケットに自分のルールを適用できないことになる。
市場が示しているように、任天堂が作ったルールの土俵には
任天堂しかいなくなってしまっている。


それは、単に、サードパーティのゲームが出ない、ということではなく、
「ゲームは、もっと知的で、創意にあふれていて、工夫を重ねて作り、遊ぶものだ」
という、任天堂の哲学が、他の会社には伝わらないことを示している。
これまでは、任天堂はその哲学とビジネスを一致させてきた、ように見えたが、
果たして任天堂が成功したのはその哲学によるものか?という
問いかけをされている、岐路に立っているともいえる。


任天堂の作りたいルールとは、
「ゲームとしてよく出来ている=おもしろい=売れる」
と、いえるだろう。


あ、だめだ、
脳と時間を使いすぎて仕事まで持たない。
機会があればまた続きを。