難しいなぁ

とりあえず、クリステンセンの「明日は誰のものか」を、ようやく読み終えました。
イノベーションのジレンマ」「イノベーションの解」をあらかじめ読んでから読み始めたほうが良いのではありますが、前の2冊に比べるとアグレッシブさはトーンダウンしており、経営者などにも入りやすい内容になっています。
なにせ、イノベーションのジレンマは、「会社が最適な戦略を取るとやがてつぶれる」というメッセージだったですからね。

経営とかマーケティングとか、そういった関連の本を読むときに、基本的なスタンスの差で「面白そう」か「面白くなさそう」かって決まる気がするんですよ。
それは企業が誰に向かって活動しているのか、ということ。

たとえば今読んでいるランチェスター関連の本だと、「競合を見て戦う」スタンスなんで、その企業が作る商品なりサービスなりを買う人、使う人の視点が除外されているんですね。
その点、クリステンセンは企業の目線は顧客にあるので、自分には向きます。
戦争嫌いなんですよ。
ただ、戦わずに勝つ手段としてのランチェスター戦略は非常に有用だと思いますよ。

で、
クリステンセンの本は、競合や市場をかならず考えに入れないと話が進まないリクツなんですが、それでも根本は、使う人、買う人にあるんですよ。
破壊的イノベーションの源泉が、「ユーザーが、今の生活や行為をより簡単に出来ることやもの」にある、ということですから。
ユーザビリティを向上するものをつくりなさい、それは市場をひっくり返しますよ。
良いメッセージじゃないですか。
でも、今の市場構造に満足しているひとは、ひっくり返されるとまずいわけですね。
だから経営者向けじゃなかったんですよ。とくに前2冊は。

今回は、実際の市場にこのリクツを当てはめてみて、有用性を検討するというハナシになっています。ですから、より実践的に見えますし、経営者にもタメになりそうな印象を受けます。
事例を読んでいく中で、「う〜ん、こじつけちゃうか?」という所もありますが、終盤にかけて、イノベーションのジレンマのリクツにうまく収斂していきますので、ほっと安心といったところです。
と同時に、経営者的な立場の人に、どういうキーワードを使って、既存市場を破壊するように迫ればいいかを示してくれています。

「満足度過剰」「意欲の不均衡」「非消費」「全体最適、全社最適」

ちなみに早速試してみましたがまずは玉砕です。

また、このハナシは、「ロングテール」「マッシュアップ」とも親和性が高いと思われます。この辺のラディカルなハナシは誰かがひとくくりにして、既存市場をひっくり返す方法として確立してくれるのではと思ったりもしていますがどうでしょうね。